1月11日 読書会 トゥルゲーネフ『はつ恋』

 先日13日14日はセンター試験があり、われらが京都大学のキャンパスも会場になりました。受験生はこれからが佳境ですがセンター後も慢心を見せることなく謙虚に努力を継続し、結果を残すことを願っております。

 本題に入ると先日1月11日(木)に読書会が開かれました。担当は私三瀬、作品はトゥルゲーネフ『はつ恋』です。
 『はつ恋』はトゥルゲーネフ本人の青春を下地にした小説であり、突然隣に引っ越してきた5つ年上の女性への16歳の青年の淡い恋を綴った小説です。19世紀ロシア文学の例に漏れず貴族の世界が舞台であり、主人公ウラジーミルは親の影響の強い閉鎖的な環境下で育てられます。父母は(特に母)ウラジーミルを後釜として育てようと必死で肩入れするのですがそれは却ってウラジーミルには負担でした。作中でウラジーミルは内向的な人物として描かれますが、おそらくそれが一因といえましょう。そんな中現れた隣人ジナイーダはまさに彼にとって天使の矢だったといえるでしょう。しかしジナイーダは天使であると同時に小悪魔でもある。そんな悪魔の側面にウラジーミルは翻弄されていくわけです。これ以上書くとネタバレになるので気になる方は是非読んでみてください。青空文庫で読めます。

 読書会では単なるシナリオの解釈に留まることない、自由な話題の方向性に持っていくことができました。例えば、一つの発言をとっても主張が首尾一貫しないジナイーダという人物から女性観の話や、ジナイーダとウラジーミルの関係性から年齢差の話と、虚構に留まらず現実にまで議論を広げることができました。
 筆者は頭が固い方であると自認しており、話題を広げるのは得意ではありません。そんな中話題を各々面白い方向へ膨らましていってくれた各木曜会員には感謝します。
 
 次の読書会は試験期間を挟み2月8日(木)に行われます。題材は『ジニのパズル』、担当は宮崎君です。

一月四日 読書会 朝吹真理子「流跡」

重ねて申し上げます、皆様本年もどうぞよろしくお願いいたします。

高倉君に続いて、新入会員の読書会を担当いたしました構井(かまい)です。新年最初の会ということもあって、今回はほとんど来ないのではないかと危惧して、それでもレジュメを五部印刷して臨んだところ一部足りないという状況に少し驚いてしまいました。

私の選んだ朝吹真理子の「流跡」はデビュー作で、内容はとても新鮮です。一読するとわからないメタファーや交錯する時代性に会員の方々も戸惑いと驚嘆をあらわにしていました。どうしてこの作品が一編の小説になっているのかが一読するだけではすんなりと意識に落ちてこない、それは私自身も体感した事実です。ただ小説である以上存在するはずの「流れ」を解き明らかにするべく、用意を進めました。

私は、物語的な読解に寄せる読み方をする向きがあります。朝吹先生の散りばめた昔めいた舞台装置を現代の状況や、より大きな枠組みとしての人生の流れに置き換えて一つのまとまった物語と受け取り、木曜会に提示したつもりです。「構井君らしい」とは言われたので、おそらく言わんとする方向はたがえずに発表できたのかなと、少しホッとしています。一里塚です。

木曜会誌「芥火」春号の執筆もそろそろです。同期の読書会も続いていきます。1月11日は三瀬君ツルゲーネフの「初恋」。
楽しみです。それではごきげんよう

12月21、28日 読書会 安部公房「砂の女」

ブログを御覧の皆様、明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

さて、久し振りの更新は安部公房砂の女」の読書会の報告です。申し遅れました私、高倉が担当させていただきました。これが初めての担当でした。本来読書会はテキストの分量が比較的短い作品を扱うと聞いていたのですが、ついその面白さに惹かれ自分の力量以上の作品を選んでしまいました。

年末の活動にもかかわらず、例会に初めて参加してくださった方もおりいろいろな意見を聞くことができました。「砂の穴での生活と男の脱出作戦の変遷は、過酷な環境でも『反復』によって乗り越えていける私たちの日常生活そのもの」とか「男の精神的なものと肉体的なものとの対決の構造がある」とかいった意見は、自分だけではうまく言語化できなかっただろうと思います。
物語としての展開の面白さのなかに様々なテーマが鋭く描かれていて、まさに読書会で考察しがいのある作品だったのですが、あまりにも強引ではないかと指摘されてしまった解釈もありました。これからの活動でさらに読解力、批評の目を磨いていきたいです。

明日一月四日は新年一回目の読書会です。その様子も後日担当者が記事にしてくださると思います。ご期待ください。

5月の新歓予定について

 さて、一日中窓を開けていても気持ちがいい季節になりましたね。
木曜会も春のうららかな陽気にあてられてついブログの更新を怠りがちな今日この頃ですが、かくいう私の耳ははやくも五月病の跫音を捉えており、残り少ななGWの日数を指折り数えては戦戦兢兢としております。

 肝心の新歓日程ですが以下の通りです。
5月11日 カミュ「ペスト」の座談会
5月18日 ブックパーティー
5月25日 テーマ競作「駅」
5月26日 同志社文芸部との合同読書会


5/26以外の当日は京大時計台=クスノキ前で18時から18時半まで、会員が看板を持って立っておりますので、お声がけください。

 座談会というのは、普段おこなっている読書会よりも比較的長篇の作品を扱う会で、特に担当者を決めずに、読書会よりもフラットかつ寛いだ雰囲気で作品について話し合う場です。
 ブックパーティーというのは参加者が自分の好きな本を持ち寄ってお互いに紹介しあう会となります。(おすすめの本を持ってきてください)
テーマ競作というのは、ある一つのテーマ、例えば昨年は「夢」今年は「駅」、を決めて小説を競作する機会です。競作といっても、席次をつけることはありませんのでご安心ください。新人さんは意慾のある方はこれを機会に創作にも挑戦して、来たる新人号作製の肩慣らしにしても良いかもしれません。作品の提出の仕方は、会にそれまでに来て下さった方に別途お伝えします。
5/26の合同読書会に付きましてはまだ委細を決めておりませんので、後日お知らせすることにいたします。
 
なお、いろいろと忙しい時期でしょうが、できれば作品は読んできていただきたいです。(もちろん読まずとも問題ないです)

では、また活動でお会いしましょう。

(和泉)

新歓 追記

読書会、座談会についてですが、ビラにも書き忘れていましたが、作品を読んできていただけるとより楽しめますが、お読みになっていなくても会員が作品をお貸ししますので、読まずに手ぶらでもご気軽に新歓にお越しください!

新歓について

花粉症のプラスの面を考えようとしています。この世のありとあらゆることにプラスの側面とマイナスの側面があるという原理にたてば(死でさえもプラスの面があると考えることができるのですから)花粉症にもあるはずです。しかし、目の痒さが、私を見る前に跳べ、考える前に北山杉を切り倒せとヒステリー気味にさせる4月のこの頃です。

さて、新歓の季節になりました。もちろん木曜会でも新入生を歓迎する気満々です。そこで、新歓の日程についてお知らせします。
4月9日日曜日 お花見読書会 開高健「裸の王様」
4月13日木曜日 モーム 「雨」
4月16日日曜日 尾崎翠第七官界彷徨
4月20日 三島由紀夫 「花ざかりの森 」
4月27日木曜日 太宰治走れメロス
あと、5月の木曜日に座談会 カミュ「ペスト」とテーマ競作「駅」、ブックパーティーを行う予定です。集合時間、場所は4月9日は14時、他の新歓は18時半までにくすのき下です。木曜会はゆるいサークルなので、活動は週一、兼サーOKなので、ご気軽にお越しください!ご質問などがおありでしたら、会長大垣 rainer-ydhtsylm9832_アットマークdocomo.ne.jp(_アットマークを@に)、新歓係五嶋kyotochronicle170227_アットマークgmail.com(上に同じ)までにご気軽にご連絡ください。それでは、皆様に会えるのをこころより楽しみにしてお待ちしております。

木曜会について

今日は京都大学の合格発表ですね。
合格された皆さん、おめでとうございます。

浮かれた気持ちが落ち着く頃には春からの準備に追われ、気がつけば3月の終わりなんてことも少なくないことです。
このブログを見てくださっている方は、春からどんなサークルに入るのかを考え始めたところでしょうか。


私たちのサークル、木曜会は「純文学」に心を惹かれた人間が集まり、小説の読書会や自作の小説を書いて会誌を作るなどの活動を行なっています。
具体的な活動に興味を持たれたならば、4月に予定している新歓に足を運んでみてはいかがでしょうか?


新歓の仔細についてはまた後日、こちらのブログで告知します。
会員一同、皆さんと春にお会いできることを心よりお待ちしております。