芥火第15号、進捗報告

皆さんお久しぶりです。長崎です。
約1ヶ月にわたり当ブログの更新が滞っており、どのような活動をしているのかお伝えできず申し訳ありませんでした。この間もきちんと毎週活動を続けていたのですが、担当の私が更新を怠っていました……すみません。春の陽気にやる気を奪われたということでどうかひとつ、ご慈悲を。
この春の成果である芥火第15号ですが、昨日編集作業を無事完了し入稿待ちという段階であります。本来なら逐一進捗をお知らせできたらよかったのですが、ここで完成した五作品の説明と個人的な印象をお伝えしたいと思います。

  • 「燃える翼」

 蝉の一生に対し、美的イメージをふんだんに膨らませた力作。巧みで透明感のある比喩も作品の魅力のひとつです。寓話的になりがちなテーマにもかかわらず、書き手が上手に距離を保って書いていることにも瞠目です。

  • 「解けた澱み」

 複数の一人称から、一連の事件を追っていく作品。淡々とした乾いた文章で描かれる人々の心情はどこかひずみが生じているように思え、うっすらと恐怖も感じられます。静かな狂気を描くのが上手いんだろうなと思います。

  • 「家」

 一軒の家を舞台に、場所、時代を超越した語り手が家での出来事を綴っていく作品です。濃密なエピソードの連続と叙事的な語り口があたかも家が記憶を語っているように思えてしまう、構成も見事な作品です。

  • 「晩夏の友情」

 友人同士のある一日とそこに潜む微かなズレを丁寧に描いた作品。登場人物がありありと想像できるほどの人物描写と、普段の空気感を再現しようとする文章が、日常の中の歪みを露わにしているようにも感じられます。

  • 「フィルム・エクスペリメンツ 09」

 拙作。いくつもの不条理に翻弄される男を描いた作品。失われた思い出の街と新しい生活に潜む異質さ、それでも続いていく日々の生活……日常と歪んだ構造の接点を描ければ、と思いつつ執筆しました。

いよいよ来月から新歓読書会も始まります。また近日中に内容の告知もできると思いますので、もうしばらくお待ちください。見学に来られた方にはもれなくこの芥火第15号も配布いたしますので、興味をお持ちの方はぜひともお越しください。