5月21日 本を紹介する会(仮)、それともBook Party

新人さんの入会も確定し今年も存続できそうだとほっとしている長崎です。昨日は「本を紹介する会(仮)」を行いました。
今回は話題に上った本と会員のお薦めコメンドを紹介していきます。(名前出し許可は聞いてないですけど名前付きで。イニシャルだと被りますし)

  • 長崎 「氷」(アンナ・カヴァン)、「デイ・トリッパー」(ファビオ・ムーン/ガブリエル・バー)

最近はまった二冊を紹介。「氷」の寂しく、作者の内面を世界に投影したような世界観が好きです。「デイ・トリッパー」はブラジル人兄弟による漫画(グラフィックノベル)、死から生きることを描いた良作です。

ロシア文学を学ぶ者からの観点で紹介してくれました。彼女曰く、ロシア文学は狂っていく様が面白いとのこと。また何人かの作家の作風や面白さも語ってくれました。

ドイツ文学に興味をもつ彼からは、ヘッセの代表作の一つを。教養小説のとっかかりとして当作品をお薦めしました。もう一作は彼の好きな田中慎弥から。テーマ競作ほどの短さに物語をしっかりと詰めた技量はさすがプロ作家。朗読もなかなか絵になってました。

ヘッセ作品の中で初めて読んだ作品。自分と何かかかわりがあるような気がしたと言います。この作品は自伝的作品だそうですが、主人公は作者とは別の道を歩んでいったとのこと。ちなみに好きな現代作家は中村文則、狂った世界の描き方が好きとのこと。(たまには現代作家の作品を扱ってもいいのかも、と名作ばかり扱う木曜会はちらっと思う)

カミュの中で一番好きな作品と感銘を受けた作品を紹介。「カリギュラ」は戯曲ゆえの疾走感があり、また個人と世界の対立という不条理の構造を浮き彫りにする書き方の上手さを語ってくれました。「寄宿生〜」は無意識に思うことを言葉に落としこんだ技量への感嘆があったとのこと。ちなみに「カリギュラ」は絶版らしく、気になった長崎には少し残念。

彼女が最も愛するサリンジャー作品とその味わいを気づかせてくれたある新書を紹介。一般的に「失敗作」と評される「シーモア-序章」も「語ることができない」を純粋な形で描いたものとするなら……。アメリカ文学つながりで紹介してくれたサローヤンの作品は、形而上的に書くサリンジャーとは対照的に今生きる世界を受け入れていこうという元気を与えてくれると語ってくれました。

今回は多くの作品と多彩なジャンルから語り合う会になり、なかなかの盛り上がりを見せました。興味をもった作品があればまた読んでみるのもいいですね。読書不足の私もこれを参考に色々と読むことにします……。
PS.「本を紹介する会(仮)」のカッコカリをどう取るか、正式名称をどうするかという話で"Book Party"という案が浮上。収まりもいいし次からはこちらを使いましょうか。